結婚する前、みんなにこう言われてました。
「エリカ、子供産んでも絶対家にいないタイプでしょ。預けてすぐ旅行行くでしょ」
私もそう思ってた。
友達と会うのは大好きだし、飲み会があれば必ず行く。旅行も大好き。夜遊びも大好き。
仕事も好きだった。
自分の未来予想図に、結婚出産はあったけど、それでもフルタイムじゃなくても、きっとずっと何かしら働いてるんだろうなって。
旦那とも付き合ってる頃から話してた。
「経済的に相手に依存する生活なんて、ありえないよね」
ヨーロッパは個人主義だし、専業主婦なんて主流じゃない。私たちもそう思ってた。
なのに、妊娠を機に少しずつ変わった。
まず現実問題として、私の収入は育休中でガクッと減った。
ドイツは1人につき最長3年育休が取れる。収入が減るってことは、自然と家計の中心は夫の収入になる。
お腹が大きくなるにつれて「もう1人増えるんだ」っていう実感が湧いてきて。
話し合ううちに、不思議とお互いの気持ちが同じ方向に向いていった。
一番驚いたのは、専業主婦を希望したのが夫の方だったこと。
「子供が小さい間は、家にいてくれた方がいい」
私自身も不器用だから、仕事と子育てを完璧に両立できる自信は正直なかった。
だから自然と、育休中は無理に仕事に復帰しないということになった。
これが、まさか6年も続くことになるとはその時は思わなかった。
その6年の間に、世界も大きく変わった。
コロナが来て、ロックダウンが来て。
昔は考えられなかったリモートワークが当たり前になった。
いよいよ復帰かな、と思ったタイミングで会社から連絡があった。
「会社の状況も昔とはずいぶん違う。今の状況だと、復帰は難しい」
そんな結論だった。
夫も「このまま家庭を支えてほしい」と言ってくれたし、
もう一度話し合って、私たちはこのままの形でいくことにした。
専業主婦。
始める前は「暇なんじゃないか」「退屈なんじゃないか」と思ってた。
でも全然違った。
やることは山積み。責任も重い。
でもお金にはならない。誰にも褒められない。「できて当たり前」のことばかり。
仕事をしていた頃は、どんなに大変でも、給料が入る。
頑張れば「ありがとう」って言ってもらえる。
その目に見える評価が、こんなにも心の支えになっていたんだと痛感した。
専業主婦になってから一番辛かったのは、
「私はここにいていいんだろうか」「私には価値があるんだろうか」
って悩む夜が増えたこと。
「全部私がやらなきゃ」そうやって、7年間飲み会にも行かなかった
子供が小学校に入った頃から、私はますますナーバスになってた。
学校からのプリント。連絡帳。持ち物。
絶対に読み漏らさないように、何度も何度も確認する。
「私のミスで子供に忘れ物させたらどうしよう」
その不安が強くて、生活の中心はあっという間に“子供の予定”になった。
友達付き合いも変わった。
会うのは子供の友達のママとパパ。
子供がいなかった頃の友達とは、だんだん連絡が途絶えた。
仕事をしていた頃の同僚とも、自然と疎遠になった。
もともとアシスタント気質なのもあって、
「みんなが気持ちよく過ごせるように、私が全部カバーしなきゃ。子供が安心して学校に行けるように、夫が安心して仕事に打ち込めるように、面倒なことは私が全部拾ってカバーする。」
って、どんどんのめり込んでいった。
例えば寝かしつけ。
明日朝早いってわかってても、子供が何時に寝るかなんてわからない。
「いい加減に寝てよ」ってイライラするほどエネルギーを使う作業。
それを「面倒だから私がやる。夫は仕事があるから違うことに時間を使って」
って、全部私が引き受けてた。
気づかないうちに、負担は全部私のところに寄ってた。
それは飲み会にも出た。
夫の会社の年に1回の恒例飲み会。
子供が生まれてから6年。私は一度も行かなかった。
「夜は子供がいるから」って理由で、夫だけに行かせて、私は家でお留守番。
上の子が7歳になった年、初めて家族で顔を出した。
でも「お子様時間」で夜の8時に帰る。
本当はもっと遅くまでワイワイ飲む会なのに、私たちはそこで失礼した。
「6年ぶり?7年ぶり?」
夫の同僚の人たちにそう言いながら、久しぶりに話した。
奥様方たちにも会えた。
で、去年のこと。
「今年はどうする?」って夫に聞かれて
「また1人で行ってきていいよ。私が子供見るから」って答えた。
そしたら夫が、会社の人から言われた言葉を伝えてくれた。
「奥さんは必ず連れてきてくださいね」
「1人で来たらダメよ」
「去年楽しかったから、奥さんちゃんと連れてくるんだよ」
え?私?
家でお留守番するもんだと思ってたから、ちょっと拍子抜けした。
でも昔の飲み会好きな自分も、どこかにまだいた。
だから今年は、子供を預けて夫と2人で参加した。
お酒も入って、場が温まってきた頃。
奥様方から、ポツポツと声をかけてもらった。
「7年も顔出さなかったでしょ?」
「去年もすぐ帰っちゃったし」
「ちょっと、家族のこと心配しすぎじゃない?」
そして、いろんなアドバイスをもらった。
心配してくれてるのがすごく伝わってきて、胸に刺さった。
日々の不安がいろいろ顔に出てたのかもしれない。
その時もらったアドバイス、いくつか紹介します
ここから先は、奥様方からもらった言葉をそのまま書いていきます。
私みたいに「全部抱え込んじゃうタイプ」の人に、届いたらいいなと思って。
アドバイス①:1番大事なのは、あなた自身
飲み会の途中、大先輩の奥様が、
「ちょっとこっちおいで」って私の手を引っ張ってくれた。
この方、きっと一番早く私の”様子のおかしさ“に気づいてたんだと思う。
子供が今そばにいないのに、そわそわしてる。
会話中もずっと「今、子供たちは大丈夫かな」って目が泳いでる。
子供に感情移入しすぎて、人生の全部をそこに入れ込みすぎてるって。
「どうなってるの?ちょっと心配しすぎじゃない?」
そう切り出されて、ドキッとした。
この方も息子さんが1人いて、今はもう25歳。
その息子さんも今日は一緒に来て、なんと運転手。
お父さんお母さんが飲んだくれて、息子さんが家まで送ってくれる。
「次の世代の形」ってこういうことか、って思った。
「私もわかるよ」って、その方は昔の話をしてくれた。
息子さんが生後6ヶ月の時に、初めて両親に預けて夫婦でコンサートに行った時のこと。
「胸が張り裂けそうだった。15分おきに携帯チェックして、実家に電話して
『泣いてない?ちゃんと飲んでる?』って聞いてた」
そうそう、そうなの。どんなお母さんも通る道だよね。
でもね、ってその方は続けた。
「えりか、忘れちゃいけないのはね。 1番大事なのは自分。 その次に大事なのは、夫婦。あなたと旦那さんのチーム。 その次に大事なのが、家族なの」
「今のあなたは、子供が1番。次が旦那さん。次が家族。
それで最後に、面倒なことは全部私が引き受ける。
こんな順番になってるでしょ?
これじゃダメ。もう何回も言うけど、これじゃダメ」
子供も少しずつ大きくなってきたんだし、
そろそろ順番をちゃんと戻さないと、って。
さすがだなぁと思った。
ぐさっと刺さったけど、すごく愛のある言葉だった。
6年間、夫を1人で飲み会に行かせてたことも見てたと思う。
「子供が小さいから仕方ない」ってみんなわかってる。
去年もやっと子連れで来たと思ったら、子供の相手で精一杯だった私のことも見てたんだろうな。
「2人の時間を作ること。旦那さんと一緒に何かをするってことが大事なのよ」
そう言われて、ハッとした。
アドバイス②:わかるよ、その不安。でも応援してる
1人目の先輩奥様と話してる横で、もう1人の奥様がずっと頷いて聞いてくれてた。
この方は私にちょっと似てるタイプ。
「わかるよ。まだ5歳と8歳だもんね。不安になる気持ち」
「子供のことばっかり考えちゃう時期、あるあるだよ」
先輩奥様の「自分が1番、次に夫婦」っていう言葉にも、
「もっとも、もっとも」って一緒に聞いてくれてた。
きっと私が不安定になってるのも察してくれてたんだと思う。
でも責めるんじゃなくて、
「大丈夫。これからどうしていくか、ちゃんと応援してるからね」
って、暖かく見守ってくれる感じだった。
アドバイス③:私だって15年、家にいたよ
そこへ、もう1人。颯爽と現れた奥様がいた。
「なんか真剣に話してるけど大丈夫?」
ってにこにこしながら入ってきて、こう言った。
「私ね、子供ができてから15年間、専業主婦だったのよ」
えっ…私の道の先輩がここにいた。
話を聞いたら、その通りだった。
15年間、専業主婦だった。
家族を支えたかったから。
でも子供がある程度大きくなって、
「社会とのつながりが欲しいな」って思って、そこからまた働き始めたんだって。
幼稚園の先生になって、週に1回子供たちにドイツ語が母国語でない子供たちにドイツ語を教えたり。
毎日じゃなくていい、フルタイムじゃなくてもいい、キャリアとかじゃなくてもいい。
自分のペースで人と関われる仕事を選んだって。
「だから心配しなくても大丈夫。
私みたいに15年家にいた人もいるんだから。
今は子供のそばにいたいなら、それでいい」
そう言ってくれた。
そしてこの場にいたほとんどの奥様、それぞれライフスタイルを話してくれた。
「自分のために働いてるの」
「人とのつながりが欲しいから」
「現場で人と関わっていたいから、昇進の話は断ってるの」
私はずっと前から思ってた。
「夫君の同僚の奥様、みんな働いてるな」って。
専業主婦って選択肢はないんだろうなって思ってた。
でもその奥様は言ってくれた。
「あなたと同じように、専業主婦だった時期、私にもあったよ」
「子供が心配で働けない時期もあった。
旦那さんに負担をかけたくないから全部引き受けちゃう気持ちもわかる」
みなさん一緒にワイワイ私を勇気づけてくれて、最後にこう締めてくれた。
「別に仕事に行きなさいって言ってるわけじゃないの。 ただ、自分のことを大切にして。 もし仕事があなたにとって『自分のため』になるなら、絶対した方がいい。 お金のためじゃなくて、『私のため』って思えるなら、やってみたらいいと思うよ」
飲み会を出て思ったこと
家に帰る車の中で、夫に言った。
「なんか、7年間抱えてたモヤモヤが少し軽くなった気がする」
みんな、私のことを心配して。
でも「早く働け」じゃなくて「自分を大切にして」って言ってくれた。
専業主婦でいるのも、働くのも、どっちも正解。
でもその選択をする時に、一番最後に考えるのは「私」だった。
そろそろ、順番を戻さなきゃな。
自分→夫婦→家族。
7年ぶりに参加した飲み会で、私はそう教わりました。
お話して私にアドバイスしてくださった皆様、ありがとう☺️


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